10年間、音源製作だけに活動を集中させた音楽家。

その間、誰にも聞かせることはなかった。

 

既存のポップスとは決別しようとし、「俺の12音技法」を使った「12トーン・ポップ」や、レオナルド・ダ・ヴィンチが使用した「黄金比」などを使い、新しいポップスを創造しようとしている。

 

誰も手をつけなかったポップスの構造から破壊し、再構築した自らの音楽を、「音楽のキュビズム」と位置づける。

 

作詞/作曲/全ての楽器/Mix/動画編集をすべて一人で行う 。

 

 

ある日のノートより

 

「オリジナルでありたいという想い、人生というたった一度の希望と絶望、そんなことを考えながら僕は散歩をしていた。その時は、人生は死に向かっているという絶望の方に取り付かれていたのだが、しばらくしてふと、自分の死というものに対して、決して自分では気づくことが出来ないということに気づいた。

 

つまり、もし既に死んでいても気づいてないのなら、もしかしたらもう自分は死んでいるのかもしれない、、、僕はそのように思った。

 

その時、この人生は死に向かっているわけではなく、死から始まっているのだと気づかされた。

 

既に一度死んだ人間として、どんなに不可能だとしても、そして今までも出来ることはやらなかったし、しかし本当にやりたいことは表現出来ず じまいだったが、僕はやはり、心底どうしてもやってみたい音楽に、もう一度立ち向かっていこうと決意した。

 

だから僕は、

 

「し」から始まる交響放送楽団

 

とその時から名乗ることにした。」

 

 

「し」から始まる交響放送楽団

橋田タカオミ


            

なぜ10年間、誰にも聞かせなかったのか?


いくらやっても自分の中の本物とはほど遠く、人に聞かせるレ ベルにまで達していなかった。日常では不安がつきまとい、僕はいつだって追い詰められていた。

 

ポップミージシャンが10年以上、誰にも聞かせることなく、活動を引きこもりの制作だけに制限したということを考えれば、当然のことだろう。

 

そしてこのやり方は、もしかしたらとんでもない間違いを犯しているかもしれないのだが、僕が表現したいものが形になる唯一の道だと僕は信じていたし、それ以外の道は存在しなかった。